貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「晴明なんてつまんないぞ。あんなのやめて、俺にしろよ。手取り足取り、楽しいことたくさん教えてやるぜ」

「何を言ってんですか。私はいずれ貴妃になる身ですよ? 皇帝以外にそのように心を乱すことがあっては」

「本当に貴妃になりたいのか?」

「……どういう意味ですか?」

 軽い調子の中にも、紅華はわずかな棘を感じた。


「貴妃なんて、はたで思うほどいいものじゃない。晴明が命を狙われているのは、昨日身をもって知っただろう? 貴妃になれば、紅華だって同じように狙われることもある。後宮にいれば贅をつくしたいい生活ができるだろうが、それは命と天秤にかけてまで欲しいものなのか?」

「私は!」

 つい紅華が声高になったとき、ちょうど二人は侍女たちの前を通り過ぎたので、紅華は口を閉じる。

 余裕の笑みを浮かべる天明に、紅華は小さくため息をついた。
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