仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
本来ならば俺ももう帰っていい。そうしたくてもできないのは、父であり社長でもある皆崎篤史(あつし)から仕事を押し付けられているからだ。
引退を考えている――などと言ってはいるけれど、それがどこまで本気なのか俺にはわかっていない。
あの父のことも、ついでに母のこともよくわからないのだ。
なにせ彼らは、突然連れてきた女性を勢いに任せて結婚相手にするような人たちだからである。
(もう少し俺がしっかりしておけば……)
旧姓、望月紗枝。今は皆崎紗枝となった妻とはこの三か月、お世辞にもよい関係を築けていない。
彼女はいつも、俺と接するときに線を引いている。
「和孝」
ノックもなくドアが開き、ずかずかと父が入ってきた。
(この遠慮のなさを半分、紗枝さんに分けてほしいもんだな)
引退を考えている――などと言ってはいるけれど、それがどこまで本気なのか俺にはわかっていない。
あの父のことも、ついでに母のこともよくわからないのだ。
なにせ彼らは、突然連れてきた女性を勢いに任せて結婚相手にするような人たちだからである。
(もう少し俺がしっかりしておけば……)
旧姓、望月紗枝。今は皆崎紗枝となった妻とはこの三か月、お世辞にもよい関係を築けていない。
彼女はいつも、俺と接するときに線を引いている。
「和孝」
ノックもなくドアが開き、ずかずかと父が入ってきた。
(この遠慮のなさを半分、紗枝さんに分けてほしいもんだな)