仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 仕事が忙しかったからと、父にすべて任せていたのが間違いだったのだ。

 それならそれで向こうに嫌われてしまえば、そもそも見合いの話にもならないだろうと考える。

 わざと遅刻をして、時間も守れないような男だと思われてやることにした。

(――と思ったのに。思ったほどギリギリの時間じゃなかったな)

 自分の細かい性格に辟易する。

 ホテルに着いた時間は、指定されていた時間の十分前だった。両親からは既に準備を終えたと連絡が来ている。

 それに合わせるつもりは毛頭なく、適当にエントランスホールで時間を潰すことにした。受付待ちの人々がいるおかげで、ずっとその場にいても目立つようなことにはならない。
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