仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 なぜかそんなふうに感じて、周りより一歩先を行こうと身を乗り出す。

 が、思っていたような事態にはならなかった。

 一応は円満に解決したらしく、男は立ち去り、子供の母親らしき女性が近付いていく。

(いいところを見せられるチャンスだったかもしれないのに、惜しいことをしたな)

 騒動が終わった今、俺の出番は必要なかった。

 もったいない気持ちになるのは、彼女の姿をもう少し見ていたかったからだろう。

 特別、目を惹くような美人というわけではなかった。

 それなのにまっすぐ男に向き合っていたあの横顔がまぶたから消えない。

(彼女には悪いけど、いい家具を見つけたときと似てる)

 自分で考えてこっそり笑ってしまった。
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