仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
(バリバリ働く優秀な女性なんだろうな。貴重なものに巡り合える機会が多いってことは、そういう場所に行かせてもらえるだけの信頼と実績があるってことだし。羨ましい。本当に羨ましい……)

 ほう、と息を吐きながら、送られてきた写真を拡大してまじまじと見る。

 年代を感じさせるしっとりとした質感。文字通り焦げたような茶色はこっくりとキャラメルのように椅子の魅力を引き出し、肘置きに施された装飾の見事さをより鮮やかにさせている。深く掘られた蔦模様とそうでない部分と、光の当たり具合でくっきりと陰影がついている。まるで老貴婦人を思わせる見事な作品だった。

(私の理想の結婚式に置く椅子がまたひとつ決まってしまった……)

 脳内リストにこの長椅子を差し込む。
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