仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 ある種吹っ切れはしたけれど、そんな学生時代の経験が私を恋愛から遠ざけていた。また誰かと恋人になれたとしても、この性格のままでは求めてもらえない。自分を変えなければいけないほどの恋に巡り合えなかったこともあって、憧れは抱きつつも諦めの境地に達しつつある。

(だから、恋愛を応援する人間になろうって思った。美香も言ってくれたように、自分でも天職だと思う。人が幸せになる後押しをできるのって楽しいし)

 まだ手に持っていた手紙に視線を落とす。

 幸せな夫婦の報告。私はいつも外側から見守る立場でいる。

(……恋も結婚もしたくないわけじゃない。だけど、そのために自分を変えなきゃいけないなら、このままでいい)

 今の自分でもいいと言ってくれる人を探す気力はなかった。
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