仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 しかもさりげなく腰に手を添えられた。それだけのことにどきっとする自分がいる。

「いえ、こちらこそ先輩にはいつもお世話になっています。今回も先輩のおかげでことなきをえたようなものです」

「……紗枝さんは後輩思いなんだな」

「えっ、あ……はい、うん」

 背の高い和孝さんに見下ろされるのは初めてではないけれど、なんとなくその眼差しにまた胸が騒ぐ。

「そういえば家で仕事の話をしたことはなかったっけか。あとで教えてくれ」

「うん、構わないけど……」

(どうして急に?)

 不思議に思うも、これは私にとってもありがたいことだった。和孝さんとの関係を好転させられるかもしれない。

(あ、でもその前に……)

「和孝さん、私からもありがとう。忙しいのにわざわざ来てもらってごめんなさい」
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