仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「このあと、どうするんだ? まだ時間あるしMARRYまで送っていこうか?」

「えっ、そこまでさせられないよ。世田くんだっているし」

 私が断ろうとすると、世田くんが横で首を振っていた。

「まだハープレさんで確認することがあるんです。そのまま直帰するので、先輩は皆崎さんに送ってもらってください」

 それに、と世田くんは付け加えてにっこり笑う。そしてこっそり私に囁いた。

「夫婦の邪魔をするほどできの悪い後輩じゃないですよ」

「……! 世田くん!」

 まさかの後輩にからかわれるという事態に顔が熱くなる。

 ついいつもの調子で突っ込もうとしてしまい、はっと口をつぐんだ。

(和孝さんの前でいつもの自分を出すわけにはいかない――!)

 まだ慣れたとは言いがたい笑みを口元に作り、和孝さんを見上げる。
< 222 / 394 >

この作品をシェア

pagetop