仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
私を見つめていた瞳がほんのり細められたあと、ついばむだけのかわいらしいキスが額に落ちた。
「たしかに紗枝さんの言う通りだな。せめて夜まで我慢しよう」
「……うん」
返答に間が空いたのは、すんなり引いてくれたことにもどかしさを感じたせいだ。お前のおねだりなんか聞くものかとでも言って、強引に続けてほしい気持ちが胸の内に渦巻く。もっとも、人一倍他人を、特に私を気遣う和孝さんがそんな強引な真似をするはずがないのだけれど。
「その代わり、夜は覚悟しておけよ。おあずけされた分、俺も抑えてやれないと思うから」
「えっ」
ぴくりと反応した私を見つめ、和孝さんはさらに続ける。
「いつもごめんな、こんなことばっかりで。俺も毎日こんなにしたくなると思ってなかったんだ」
「あ、う」