仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 明らかにこの続きを求めた言葉を訂正すると、和孝さんは困ったように目尻を下げた。

「紗枝さんも一時間じゃ足りないと思ってるわけだ」

 無意識に答えたことの本質を見抜かれて、顔に血が上る。きっと赤くなっている顔を見られたくなくて、和孝さんの胸にぎゅっと顔を埋めた。

 うううと呻いた私の頭を優しく撫でる手が恨めしい。慰めているのか、ただ撫でたいだけなのかはわからないけれど、この手は私をおかしくさせる。

 たった一時間でもいいから、キスの続きをしたいと思ってしまう。

 大きな手で私のすべてに触れて、なにも考えられなくなるまで奪ってほしいと願ってしまう。

「せっかくイタリアに来たんだから、家ではできないことをしよう……?」

 かろうじて残った理性を総動員し、なんとか和孝さんに訴える。
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