仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 隣で私が見とれていることにも気付かないまま、和孝さんはしばらくその場に立ち尽くしていた。

 やがてはっと思い立ったように私へ目を向ける。

「悪い。つい……」

「大丈夫だよ」

「紗枝さんがいることを忘れてるわけじゃないんだ」

「気にしないで。仕事なのに無理についてきたのは私だし」

(仕入れようとしてるのかな? それとも、こういう家具をこれから自社で取り入れようとしてる? ミナサキ家具なら後者か。こんなアンティーク調の家具を売ってくれるようになるなら、また実家の家具を新しくしたくなる……)

 値が張るアンティーク家具はそうそう簡単に買えるものではない。これまで私は涙を呑んでアンティーク“風味”の家具で我慢してきた。
< 84 / 394 >

この作品をシェア

pagetop