仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「こちらはオルゴールになります。製作者はこちらの――」

 作品の説明は司会者と製作者の男性の両方からされた。

 もう言われなくてもわかっている。ここはミニオークション会場だ。

「すごいな。ああいう個人製作品をこうやって売ってるのか」

「うん、すごいね」

 本当はいろいろ言いたいけれど、当たり障りない返答をする。

(人気のある製作者だと、最初に提示された金額の二十倍くらいになったりするんだよ。あとは制作物じゃなくて骨董品が流れたりもするから、コレクターがたくさん集まるの。そういうものが出ると、みんな目の色が変わるからわかりやすいよ。……って話せたらなぁ)

 今回のオルゴールは提示された金額の三倍の値段で落ち着いた。

 私でもギリギリ手を出せそうな値段だったことに唇を噛む。
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