仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 端のエリアはここだけでひとつの会場のようになっていた。四方を高い壁で囲み、雰囲気を出すためか暗幕がかけられている。

 人の出入りは自由に行われているようで、私たちも中へと入る。

 前方はステージになっていた。それを客席から見る形になっている。

 まるで劇場のような形だった。既に客席部分は埋まっており、私たちも含めて何人も立ち見している人がいる。

「では、次の作品に移ります」

 ステージの奥から暗幕をめくって現れたのは、いかにも職人気質な初老の男性だった。続いて台座に乗せて運ばれてきたそれを見て、思わず声が出そうになる。

(か、かわいい……!)

 手のひらより少し大きいサイズの箱だった。

 離れていても、くすんだ金で彩られた細かな装飾が目を惹く。
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