仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「ああいう食器棚は? 好き?」

「素敵だね。でも、家で使うのは怖いかも。汚したり傷付けたりしそうで」

「それもそうだな。飾るにはいいけど、実用的じゃないか」

「これも仕事に生かすの?」

「そうなったらいいな」

 そんな話をしながらいくつものオークションを見送る。

(会話もいつもよりいい感じでできてるんじゃない? この調子なら、家でももう少し話せそう)

 だんだん初期に提示される金額が上がっていくと、ちらほら席を立つ人が増え始めた。

(ここから先はよほどの富豪じゃなきゃ買えない値段になってくるもんね……)

 こうなると十万や二十万は平気で動く。いつも私はこれ以降も見学を続けていた。目の保養になるからだ。

「そろそろ行こうか。ほかの人も出ていくみたいだし」

「あ……うん、そうだね」
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