仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「そ――そんなに赤い、ですか」

 すすす、と和孝さんの手から逃れるように後ずさる。私の中のキャパシティがいっぱいいっぱいだったこともあって、敬語になってしまった。

「うん、赤い。鼻も赤くなってるのは俺のせいかな。悪い、強く引っ張りすぎた」

「大丈夫です、大丈夫……」

「手は? そっちも掴まれて痛かったとか」

「ううん……」

「遠慮なく言っていいんだからな?」

「……うん、ありがとう。ごめんね」

 今の私に言えるのはそれが精一杯だった。

 顔が熱くてたまらない。これは人の波に揉まれたせいではないだろう。

(深呼吸、深呼吸……。不意打ちすぎる……)

 触れられた場所が火照っている。自分の手で同じ場所をなぞっただけで、またさっきの感触を思い出してしまった。

「馴れ馴れしかったな、ごめん」
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