仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「ごめんなさ――」

「平気?」

(……!)

 人のいないところまで引っ張り出してくれたのは和孝さんだった。

 しかも今、私はその腕の中にいる。

「あ……え、と……」

「あんまり平気じゃなさそうだな。赤くなってる」

 和孝さんが顔を覗き込んできた。

 その手が、頬に触れる。

(う……うわああああ)

 擦れた頬を撫でる指を強く意識してしまった。

 表面をくすぐるように撫でられ、ふにふにと軽くつままれる。かと思えば、手のひらで両頬を包み込まれた。

(心臓、止まりそう。止まる。ううん、止まった)

 反応もできず、完全に硬直する。

 その間も和孝さんの目が逸らされなかったせいで、見つめ合う羽目になった。

 意識しすぎて心臓が痛い。もっと触れられてみたいけれど、これ以上は気絶しそうだった。
< 94 / 394 >

この作品をシェア

pagetop