寄り添って、そっと手を繋ごう


「お疲れ様、仁菜ちゃん」

私はアルバイトをしている。24時間営業の飲食店。
お金に困って、切羽詰まっているわけではない。でも、何もしていない時間がなんだかもったいなくて、数ヶ月前からはじめた。

最初は講義の後、夕方メインで働こうと思っていたが、早朝の人手が足りず、店長にお願いされて朝方になった。

決して朝が得意なわけではないけれど、普段寝てる時間にお金が稼げるなら、それは良いことだと思った。


「仁菜ちゃんが朝はいってくれるようになって、ホント助かるよ〜!!仕事は完璧だし、仁菜ちゃんの後のときってやりやすいわ」

「いえ、そんな…」

早朝から働いて、9時頃に主婦さん方と交代する。平日昼間は主婦さんたち、他の時間は学生がシフトに入っている事が多い。


「でも、週5日もシフト入ってくれて、助かるけど、仁菜ちゃん彼氏いるでしょ?朝5時からバイトなんかしてたら、ゆっくり会えないんじゃない?」

主婦さんたちとの会話は裏表がないから楽だ。まぁ、言ったことは、噂としてすぐに広まるからその覚悟は必要だけど。

「彼氏とは、遠距離なんです。だから、大丈夫です」

「あら!そうなんだっけ?遠距離じゃ色々大変でしょ〜?」

「そう、ですね」

色々、遠距離だからこそ、良いことも悪いことも。
 

「また聞かせてね!今日もお疲れ様」

「お疲れ様です〜」

そう、私は遠距離恋愛になる彼氏がいる。



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