寄り添って、そっと手を繋ごう
春樹くんは駅に着くまで笑っていた。
私が気まずい思いをしなくても済むように、会話を続けてくれた。
その健気な姿が、切なくて、悲しくて、たくさん心の中でごめんなさいって謝った。
私は春樹くんを傷つけてしまった。
今まで、4人の人と付き合った事はあるけど、こんなに大切に、慎重に、まっすぐに、告白されたのははじめてだった。
心の奥に見える、彼を愛おしく思う気持ちに必死に蓋をして、さらに深く深くへと押し込めた。
だめ。
この気持ちはきっと、気のせい。はじめて、まっすぐに告白されたからドキッとしただけ。
私は、あの人を裏切る事はできない。
春樹くんがすごく、すごく良い人だなんてことくらいわかってる。
だけど…
私は籠の中の鳥になるって、決めたから。