寄り添って、そっと手を繋ごう
「仁菜ちゃん」
私は人にキャッチされていた。
人。男の子。…子?先輩。男子バスケットボール部の。
「宏人(ひろと)先輩…」
頭がクラクラして、状況がよく掴めない。けど、どうやら助けてもらったらしいことは分かる。
「…あの…すいません…ありがとう、ございました…」
そう言って体勢を整えたけど、頭が回らない。
「仁菜ちゃん大丈夫?水、持ってたら飲んで」
宏人先輩は私を支えたまま、私の持っていたタオルやシューズを取り上げた。
そうか、私、熱中症になりかけてるのか。
先輩に促されるまま、水を口に流し込む。
水を飲みながら、考えたのは、一刻も早くここを離れなければならないということ。
体育館にほど近いこの階段は、他の部員も使うはずで、さっきの井戸端会議が終わればここを通るだろう。
宏人先輩は、背が高くてかっこいい人だ。だから、目立つ。私と一緒になんかいてはいけない。