寄り添って、そっと手を繋ごう
「先輩、私もう大丈夫です。ありがとうございました」
そう言って、タオルとシューズを返してもらおうと手を伸ばすけど、手を遠くに伸ばして返してくれないそぶりを見せられた。
「え…」
「仁菜ちゃん、大丈夫?」
先輩はさっきと同じ言葉を繰り返す。
「大丈夫です。ありがとうございました」
だから私も同じ言葉を繰り返すけど、先輩はこてんと首を傾げる。どうやら聞きたいことは別にあるらしい。
「そうじゃなくて…辛くないの?」
少し顔を近づけられるけど、ドキドキというか、恋とは違う、嫌な意味で心臓が音をたてた。
触れないでほしい。
私は何も言わずに頑張っているのだから。辛いと言ったところで、どうにもならないのだから。
「…大丈夫です。それ、返してください。」