月に魔法をかけられて
副社長はそれ以降全く口を開くことなく、両腕を組み、気難しい顔をしたまま目を閉じてしまった。
私は副社長が呟いた『あいつ』が瞳子さんなのか、もやもやとした気持ちを抱えながら、窓に映る景色を見つめていた。
やっとホテルへと到着し、タクシーを降りて腕時計を見ると、17時15分を回ったところだった。長い時間乗っていた感じだったけど、15分しか経ってなかったようだ。
なんだか緊張しすぎて疲れちゃったな。
ふぅと小さく息を吐きながら、副社長の後ろに着いてパーティー会場の3階まで一緒に上がる。3階のフロアに到着すると、塩野部長や瞳子さん、あゆみちゃんに田村くんが既に到着して準備をしていた。塩野部長が副社長の姿を見つけて近づいてくる。
「副社長、お疲れさまです。増田専務や小野常務が控室にいらっしゃいますのでご案内いたします」
「いや、控室はいい。会場の雰囲気と今日のパーティーのタイムスケジュールを確認しておきたいのだが……」
「わかりました。ではこちらへどうぞ」
副社長は塩野部長と一緒に会場の中に入っていった。
私は受付で準備をしている瞳子さんたちのところへ行って声をかけた。
「瞳子さん、お疲れさまです」
「あっ、美月ちゃん。ちょうどいいところに来てくれたわ。今ね、営業部の小早川部長から電話があってね。受付担当の子が仕事で遅れてるらしいの。17時30分の開場に間に合わないらしくて、美月ちゃん代わりに受付をしてもらえないかな?」
毎年、このレセプションパーティーには営業部とマーケティング部から1名ずつ受付担当として割り当てられる。昨年まで受付を担当していた私は、瞳子さんの申し出をすぐに快諾した。
私は副社長が呟いた『あいつ』が瞳子さんなのか、もやもやとした気持ちを抱えながら、窓に映る景色を見つめていた。
やっとホテルへと到着し、タクシーを降りて腕時計を見ると、17時15分を回ったところだった。長い時間乗っていた感じだったけど、15分しか経ってなかったようだ。
なんだか緊張しすぎて疲れちゃったな。
ふぅと小さく息を吐きながら、副社長の後ろに着いてパーティー会場の3階まで一緒に上がる。3階のフロアに到着すると、塩野部長や瞳子さん、あゆみちゃんに田村くんが既に到着して準備をしていた。塩野部長が副社長の姿を見つけて近づいてくる。
「副社長、お疲れさまです。増田専務や小野常務が控室にいらっしゃいますのでご案内いたします」
「いや、控室はいい。会場の雰囲気と今日のパーティーのタイムスケジュールを確認しておきたいのだが……」
「わかりました。ではこちらへどうぞ」
副社長は塩野部長と一緒に会場の中に入っていった。
私は受付で準備をしている瞳子さんたちのところへ行って声をかけた。
「瞳子さん、お疲れさまです」
「あっ、美月ちゃん。ちょうどいいところに来てくれたわ。今ね、営業部の小早川部長から電話があってね。受付担当の子が仕事で遅れてるらしいの。17時30分の開場に間に合わないらしくて、美月ちゃん代わりに受付をしてもらえないかな?」
毎年、このレセプションパーティーには営業部とマーケティング部から1名ずつ受付担当として割り当てられる。昨年まで受付を担当していた私は、瞳子さんの申し出をすぐに快諾した。