月に魔法をかけられて
「さようでございますか。私どもの社長と懇意にされてらっしゃるんですね」
私は鞄の中から名刺入れを手に取ると、自分の名刺を吉川さんに差し出した。
「吉川様、私は副社長の藤沢の秘書をしております山内と申します。もしお時間がまだ大丈夫なようでしたら、副社長の藤沢を呼んでまいりますが……」
「い、いやいや結構結構……。それには及ばん……」
吉川さんは焦ったように首を左右に振ると、その話題を避けるように逆に私に聞き返してきた。
「お嬢さん、いや、山内さんは藤沢副社長の秘書をしておるのかね」
「はい、秘書をしております」
「確か……今年の春に海外から戻って来たのだったな。どうかな? 副社長の秘書は大変かな?」
「最初は大変でしたけどだいぶ慣れてきました。私の大変さより、副社長の方が大変だと思います。本当に忙しい方なので……」
「副社長はそんなに忙しい人なのかい?」
「はい。4月に就任してからは休むことなく仕事をしております。少しは休んでもらいたいのですが……。見ていて心配になります」
「そうか。きちんと仕事をしているんだな。あいつ……」
「あいつ?」
「あっ、いやいや……。少し暑いなあと思ってな……」
吉川さんは慌てて横のテーブルに置いてあったウーロン茶を手に取ると、残りを一気に飲み干した。
「ところで山内さんは、ルナ・ボーテなんだね」
「ルナ・ボーテ?」
私は意味がわからず首を傾げると、吉川さんは手に持っていた『山内美月』と書いてある名刺を私に向けた。
「あっ!」
私は両手で口元を押さえて満面の笑みを吉川さんに向けた。
私は鞄の中から名刺入れを手に取ると、自分の名刺を吉川さんに差し出した。
「吉川様、私は副社長の藤沢の秘書をしております山内と申します。もしお時間がまだ大丈夫なようでしたら、副社長の藤沢を呼んでまいりますが……」
「い、いやいや結構結構……。それには及ばん……」
吉川さんは焦ったように首を左右に振ると、その話題を避けるように逆に私に聞き返してきた。
「お嬢さん、いや、山内さんは藤沢副社長の秘書をしておるのかね」
「はい、秘書をしております」
「確か……今年の春に海外から戻って来たのだったな。どうかな? 副社長の秘書は大変かな?」
「最初は大変でしたけどだいぶ慣れてきました。私の大変さより、副社長の方が大変だと思います。本当に忙しい方なので……」
「副社長はそんなに忙しい人なのかい?」
「はい。4月に就任してからは休むことなく仕事をしております。少しは休んでもらいたいのですが……。見ていて心配になります」
「そうか。きちんと仕事をしているんだな。あいつ……」
「あいつ?」
「あっ、いやいや……。少し暑いなあと思ってな……」
吉川さんは慌てて横のテーブルに置いてあったウーロン茶を手に取ると、残りを一気に飲み干した。
「ところで山内さんは、ルナ・ボーテなんだね」
「ルナ・ボーテ?」
私は意味がわからず首を傾げると、吉川さんは手に持っていた『山内美月』と書いてある名刺を私に向けた。
「あっ!」
私は両手で口元を押さえて満面の笑みを吉川さんに向けた。