月に魔法をかけられて
「藤沢副社長、こちらにいらっしゃったんですね!」
武田絵奈が黒いフィッシュテールのドレスをふわふわと揺らしながら、華やかな笑顔で私たちの前へと現れた。
艶感いっぱいのパールローズのメイクが、ますますセクシーな表情を醸し出している。身体からは眩しいほどのオーラが放たれ、ざっくりと見える美しい背中には、周りからの視線が集中していた。
「素敵なCMでしたね。放映されるのが楽しみです」
副社長はいつもの完璧な笑顔を絵奈に向けた。
私にはこれまで一度も向けられたことのない、仕事の時によく見るイケメンの笑顔だ。
「素敵なCMだなんて……。ありがとうございます。藤沢さんにそう言っていただけて本当にうれしいです」
両手を胸の前でしなやかに合わせながら、キラキラと輝くクリッとした大きな瞳が副社長を見つめている。その色っぽい表情に、女性の私でも思わず吸い込まれてしまいそうになる。そんな絵奈の瞳に優しい笑顔で応える副社長。
目の前に映る美しい2人のやりとりに、私は今まで感じたことのないもやもやとした気持ちになっていた。同時になぜか胸の奥にズキっと痛みが走る。
絵奈の輝く笑顔が、アップに纏められた首筋のうなじが、セクシーな背中が、全て自分にはないもので。
そしてネイビーのスーツをビシッと着こなし、スラリと伸びた長い足で姿勢よく立ち、渋い低めの声で話す副社長がとても男らしくて。
いつも近くで見慣れている副社長が、とても遠い人のように思えた。
次第にこの恋人同士のような2人を見ているのがつらくなり、この場に立っているのが苦しくなってきた。
私は視界から2人の姿を消すように視線を下に落とすと、トイレに行くふりをしてその場から立ち去った。
武田絵奈が黒いフィッシュテールのドレスをふわふわと揺らしながら、華やかな笑顔で私たちの前へと現れた。
艶感いっぱいのパールローズのメイクが、ますますセクシーな表情を醸し出している。身体からは眩しいほどのオーラが放たれ、ざっくりと見える美しい背中には、周りからの視線が集中していた。
「素敵なCMでしたね。放映されるのが楽しみです」
副社長はいつもの完璧な笑顔を絵奈に向けた。
私にはこれまで一度も向けられたことのない、仕事の時によく見るイケメンの笑顔だ。
「素敵なCMだなんて……。ありがとうございます。藤沢さんにそう言っていただけて本当にうれしいです」
両手を胸の前でしなやかに合わせながら、キラキラと輝くクリッとした大きな瞳が副社長を見つめている。その色っぽい表情に、女性の私でも思わず吸い込まれてしまいそうになる。そんな絵奈の瞳に優しい笑顔で応える副社長。
目の前に映る美しい2人のやりとりに、私は今まで感じたことのないもやもやとした気持ちになっていた。同時になぜか胸の奥にズキっと痛みが走る。
絵奈の輝く笑顔が、アップに纏められた首筋のうなじが、セクシーな背中が、全て自分にはないもので。
そしてネイビーのスーツをビシッと着こなし、スラリと伸びた長い足で姿勢よく立ち、渋い低めの声で話す副社長がとても男らしくて。
いつも近くで見慣れている副社長が、とても遠い人のように思えた。
次第にこの恋人同士のような2人を見ているのがつらくなり、この場に立っているのが苦しくなってきた。
私は視界から2人の姿を消すように視線を下に落とすと、トイレに行くふりをしてその場から立ち去った。