月に魔法をかけられて
「なあ、あのパーティーって毎年してるんだよな」
副社長はたった今運ばれてきた飛騨牛のローストを綺麗にナイフでカットして口に入れながら私に尋ねた。
「はい、毎年してます。この時期のあのパーティーっていいですよね。ホテルにクリスマスツリーがあったりして」
お酒のせいか私も副社長の質問に余計なことまで付け加えて答えてしまう。
「クリスマスツリーがそんなに嬉しいか? 単なる木に飾りをつけてるだけだろ?」
「そうですけど……。でも街並みもホテルもキラキラとして、もうすぐクリスマスだなと思うとなんだか嬉しくなります」
「そんなことで嬉しくなるって子供みたいだな」
副社長はそう言って私に笑顔を向けると、嫌そうな顔をして大きく息を吐いた。
「毎年あのパーティーがあるのか……」
「副社長はあのパーティーが嫌なのですか?」
「いや、そうじゃなくて。あの女社長しつこいだろ?」
女社長……?
「もしかしてフジモリビューティーの社長ですか?」
「ああ。あのおばさんのアピールってすごくないか? あんな露出の多い服を着ても誰も見てないだろ」
副社長の表情が可笑しくて、私は片手で口を押えてふふふっと笑った。
あのおばさんって……。
副社長、相当嫌なんだ。
今回も胸の谷間を強調した服を着て、副社長に迫っていたもんね。
パーティーでの光景を思い出しながら再び笑ってしまう。
「笑いごとじゃないだろ。いつもしつこいんだよな、あの人。かと言って無下にはできないしな」
「かっこいいと色々大変ですね。副社長くらいかっこいいと女性がたくさん寄ってこられますもんね」
私が黄色のフルーツトマトを口に入れると、副社長が真面目な顔をしてじっと私を見つめていた。
えっ? 何?
急にどうしたの?
見つめられている理由がわからず、その視線を遮るように慌てて口を開く。
「あっ、あの、絵奈さんはきれいでしたよね。CMもすごく素敵だったし……」
「そうだな。CMはいい具合に仕上がってたな」
絵奈さんのことを素直に肯定する副社長に、自分が言ったことにもかかわらず、なぜか悲しく感じる私がいた。
副社長はたった今運ばれてきた飛騨牛のローストを綺麗にナイフでカットして口に入れながら私に尋ねた。
「はい、毎年してます。この時期のあのパーティーっていいですよね。ホテルにクリスマスツリーがあったりして」
お酒のせいか私も副社長の質問に余計なことまで付け加えて答えてしまう。
「クリスマスツリーがそんなに嬉しいか? 単なる木に飾りをつけてるだけだろ?」
「そうですけど……。でも街並みもホテルもキラキラとして、もうすぐクリスマスだなと思うとなんだか嬉しくなります」
「そんなことで嬉しくなるって子供みたいだな」
副社長はそう言って私に笑顔を向けると、嫌そうな顔をして大きく息を吐いた。
「毎年あのパーティーがあるのか……」
「副社長はあのパーティーが嫌なのですか?」
「いや、そうじゃなくて。あの女社長しつこいだろ?」
女社長……?
「もしかしてフジモリビューティーの社長ですか?」
「ああ。あのおばさんのアピールってすごくないか? あんな露出の多い服を着ても誰も見てないだろ」
副社長の表情が可笑しくて、私は片手で口を押えてふふふっと笑った。
あのおばさんって……。
副社長、相当嫌なんだ。
今回も胸の谷間を強調した服を着て、副社長に迫っていたもんね。
パーティーでの光景を思い出しながら再び笑ってしまう。
「笑いごとじゃないだろ。いつもしつこいんだよな、あの人。かと言って無下にはできないしな」
「かっこいいと色々大変ですね。副社長くらいかっこいいと女性がたくさん寄ってこられますもんね」
私が黄色のフルーツトマトを口に入れると、副社長が真面目な顔をしてじっと私を見つめていた。
えっ? 何?
急にどうしたの?
見つめられている理由がわからず、その視線を遮るように慌てて口を開く。
「あっ、あの、絵奈さんはきれいでしたよね。CMもすごく素敵だったし……」
「そうだな。CMはいい具合に仕上がってたな」
絵奈さんのことを素直に肯定する副社長に、自分が言ったことにもかかわらず、なぜか悲しく感じる私がいた。