月に魔法をかけられて
そんなの無理に決まってるじゃん。
呼べるわけないでしょ!
毎日「副社長」って呼んでるんだよ。
それを急に今から下の名前で呼べだなんて──。
心の中で何度もそう訴えてみるものの、目の前の副社長はそんな思いには全く気づいてもくれず、私の困った顔を見て楽しそうに微笑んでいる。私は大きな溜息をつきながら視線を下に落とした。
毎日「副社長」と呼んでる人を急に今から下の名前で呼ぶだなんて、そんなことできるわけがない。かといって、「副社長」と呼んでしまえば、グラスの中に入っているお酒を全部飲むことになるのだ。下の名前を呼ぶことに比べたら、「副社長」と呼んでお酒を飲む方が絶対にいい。
でも──。
ただでさえお酒が弱いというのに、今日はいつもと違うシャンパンやスパークリングワインなんか飲んで、既に気分がふわふわしている。これ以上お酒を飲める自信なんて全然ない。
ふぅーと息を吐き出した私はあることに気がついた。
あっ、そうか!
そうだよ!
副社長は下の名前を呼べとは言ったけど、必ず呼べとは言ってないよね?
ということは、別に無理して下の名前を呼ばなくてもいいってことだよね?
「副社長」とは呼ばずに、「あの」とか「ねぇ」とか「すみません」って言っておけばいいじゃん!
そしたらお酒を飲む必要もないよね?
呼べるわけないでしょ!
毎日「副社長」って呼んでるんだよ。
それを急に今から下の名前で呼べだなんて──。
心の中で何度もそう訴えてみるものの、目の前の副社長はそんな思いには全く気づいてもくれず、私の困った顔を見て楽しそうに微笑んでいる。私は大きな溜息をつきながら視線を下に落とした。
毎日「副社長」と呼んでる人を急に今から下の名前で呼ぶだなんて、そんなことできるわけがない。かといって、「副社長」と呼んでしまえば、グラスの中に入っているお酒を全部飲むことになるのだ。下の名前を呼ぶことに比べたら、「副社長」と呼んでお酒を飲む方が絶対にいい。
でも──。
ただでさえお酒が弱いというのに、今日はいつもと違うシャンパンやスパークリングワインなんか飲んで、既に気分がふわふわしている。これ以上お酒を飲める自信なんて全然ない。
ふぅーと息を吐き出した私はあることに気がついた。
あっ、そうか!
そうだよ!
副社長は下の名前を呼べとは言ったけど、必ず呼べとは言ってないよね?
ということは、別に無理して下の名前を呼ばなくてもいいってことだよね?
「副社長」とは呼ばずに、「あの」とか「ねぇ」とか「すみません」って言っておけばいいじゃん!
そしたらお酒を飲む必要もないよね?