月に魔法をかけられて
再び会話が途切れ車内に静寂な時間が訪れる。
私は場を持たせるように口を開いた。

「で、でもあれですよね。外食やコンビニばかりだと飽きちゃいますよね」

「そうだけど男がひとりだとそんなもんだろ」

「そ、そうですよね……」

そう答えたまま会話が続かず、また車内が静かになり、なんとなく気まずい空気が流れる。

「ご、ご実家で食べたりされないんですか?」

「生活スタイルが合わないしな。たまに行くこともあるけど、親父と話をするくらいで行ってもすることないだろ? だからほぼ外食とコンビニだな」

「そうなんだ……」

私は副社長の彼女とか、瞳子さんのことなんて全く考えることなく、ただ副社長の言葉を信じて頷いていた。
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