月に魔法をかけられて
「そうなんです。なんか美月のとこの副社長って、すごくイケメンなのにいつも表情が怖くて全然笑わないんですって。それに何を考えてるかわからないから、美月は自分は秘書に向いてないって言うんです!」

「それは上に立つ者としてあまり良くないな。厳しいと怖いは違うからね」

「そうですよね! 私も大切な美月にそんなことを思わせるなんて許せないんです!」

そんな中、私たちのテーブルに新しいカクテルが運ばれてきた。

「先ほど彩矢さんから美月さんの誕生日だとお聞きしたので、ご一緒させていただいたお礼に私にご馳走させてください」

彩矢の前には白いカクテルが、私の前にはピンク色のカクテルが置かれた。

「イメージで勝手に選んでしまったのですが……。彩矢さんはホワイトレディです。そして美月さんはベリーニにしました。お好きかどうかわかりませんが、もしよかったら……」

「お気遣いいただいてすみません。ありがとうございます」

2人でお礼を言いながらテーブルの上に置かれたカクテルを口に運ぶと、シュワシュワのスパークリングと、とろりとしたピーチの果汁が口の中に広がった。

「わぁ、美味しい!」

この人ってなんでこんなにスマートなんだろう。
イケメンでスマートで優しいなんて完璧だし!
こんな人が副社長だったらまた違ったのかな。

そう言えば、さっきから呼び方が彩矢さんと美月さんになってるし。

彩矢と石川さんの様子に頬を緩ませていると、背後から男性の声が聞こえてきた。
< 20 / 347 >

この作品をシェア

pagetop