月に魔法をかけられて
それから私は一度自分の家に着替えなどの荷物を取りに帰ったあと、再び瞳子さんの家にお世話になることになった。その間、副社長が私を自宅まで連れて帰ってくれて、また瞳子さんの家に連れて行ってくれた。
次の日には副社長も瞳子さんのお家に泊まるのか、大きな荷物を持ってやってきた。
「あら、壮真。今年は家に泊まるの? 珍しいわね?」
含み笑いを浮かべる瞳子さんに動じることなく、副社長は「今年の休みは世話になるわ。よろしく」と言って、まるで自分の家のように過ごしていた。
私も元気いっぱいでぴったりとくっついてくる啓太くんの存在や、終始にこやかに接してくれる瞳子さんや直人さん、副社長と話をすることで、嫌な出来事を思い出すことなく過ごすことができていた。
そして大晦日。
夕食の手伝いをしながら台所に立っていると、瞳子さんが小さな声で話かけてきた。
「ねぇ美月ちゃん。美月ちゃんは好きな人はいないの?」
突然瞳子さんに聞かれ、目を丸くしてしまう。
「あっ、ごめんごめん。美月ちゃんに今好きな人がいないのならうちの壮真はどうかなと思ってね」
ふふっと笑いながら瞳子さんが目配せする。
「ふ、副社長ですか……?」
「壮真のことは嫌かな? 確かに愛想はあまりないけど、悪い奴じゃないから。そこは姉として保証はするわ。前々から美月ちゃんにどうかなって思ってたんだよね」
「あっ……えっと……」
私が言葉に詰まっていると、瞳子さんは嬉しそうな顔をしながら私を見つめた。
次の日には副社長も瞳子さんのお家に泊まるのか、大きな荷物を持ってやってきた。
「あら、壮真。今年は家に泊まるの? 珍しいわね?」
含み笑いを浮かべる瞳子さんに動じることなく、副社長は「今年の休みは世話になるわ。よろしく」と言って、まるで自分の家のように過ごしていた。
私も元気いっぱいでぴったりとくっついてくる啓太くんの存在や、終始にこやかに接してくれる瞳子さんや直人さん、副社長と話をすることで、嫌な出来事を思い出すことなく過ごすことができていた。
そして大晦日。
夕食の手伝いをしながら台所に立っていると、瞳子さんが小さな声で話かけてきた。
「ねぇ美月ちゃん。美月ちゃんは好きな人はいないの?」
突然瞳子さんに聞かれ、目を丸くしてしまう。
「あっ、ごめんごめん。美月ちゃんに今好きな人がいないのならうちの壮真はどうかなと思ってね」
ふふっと笑いながら瞳子さんが目配せする。
「ふ、副社長ですか……?」
「壮真のことは嫌かな? 確かに愛想はあまりないけど、悪い奴じゃないから。そこは姉として保証はするわ。前々から美月ちゃんにどうかなって思ってたんだよね」
「あっ……えっと……」
私が言葉に詰まっていると、瞳子さんは嬉しそうな顔をしながら私を見つめた。