月に魔法をかけられて
1月も最終週の金曜日。
副社長の家で生活するようになって明日で1ヶ月が過ぎようとしていた。
仕事が始まった当初は色々と意識しすぎて戸惑ってばかりだったけれど、次第に家と会社での切り替えもできるようになり、この生活にもだいぶ慣れてきた。
私はいつものように副社長と一緒に会社から帰ってくるとすぐに夜ごはんの準備に取りかかった。
昨日作ったカレーが残っていることもあり、それをコンロで温めながら、サラダは何にしようかと野菜室の中を覗く。熟し始めたアボカドを見つけ、トマトと一緒にわさび醤油で和えようとその2つを取り出した。
副社長はカーペットの上に座りソファーを背もたれにしながら、パソコンを開いてメールの返信をしている。
私がごはんを作っているときの最近の光景だ。
その後ろ姿に愛おしさを感じながら、私はトマトを洗い始めた。
洗い終わったトマトを乱切りにしてボール中に入れ、次にアボカドの皮を剥いてトマトと同じような大きさに切っていく。お醤油とオリーブオイルとわさびを混ぜ合わせて上からかけて和えると、それを透明なガラスの器に盛った。
らっきょうと福神漬けを用意して、小さなカクテルグラスにデザートのマンゴープリンを乗せる。全て出来上がったところで、ダイニングテーブルに運びセットし始めた。
「壮真さん、ごはんができました」
キーボードを打っている副社長の背中に声をかける。
「わかった。このメールを送信したらすぐ行く」
副社長はものすごいスピードでカチャカチャとキーボードを打ち始めると、「これでよし」と言ってメールを送信してパソコンを閉じた。
「おっ、今日も旨そう。これアボカドのサラダじゃん」
テーブルの上の並んだ料理に視線を動かす。
「すみません。今日は昨日のカレーが残ってたので、またカレーです。簡単ですみません。明日は違うもの作りますね」
申し訳なさから副社長の反応を確認しつつ、苦笑いを浮かべていると──。
「カレーは2日目が美味しいっていうだろ? またカレーじゃなくて、昨日よりも美味しいカレーだよ。美月、いつもありがとな」
柔らかい表情でにっこりと微笑む副社長に、また胸の奥がきゅんと疼いた。
副社長の家で生活するようになって明日で1ヶ月が過ぎようとしていた。
仕事が始まった当初は色々と意識しすぎて戸惑ってばかりだったけれど、次第に家と会社での切り替えもできるようになり、この生活にもだいぶ慣れてきた。
私はいつものように副社長と一緒に会社から帰ってくるとすぐに夜ごはんの準備に取りかかった。
昨日作ったカレーが残っていることもあり、それをコンロで温めながら、サラダは何にしようかと野菜室の中を覗く。熟し始めたアボカドを見つけ、トマトと一緒にわさび醤油で和えようとその2つを取り出した。
副社長はカーペットの上に座りソファーを背もたれにしながら、パソコンを開いてメールの返信をしている。
私がごはんを作っているときの最近の光景だ。
その後ろ姿に愛おしさを感じながら、私はトマトを洗い始めた。
洗い終わったトマトを乱切りにしてボール中に入れ、次にアボカドの皮を剥いてトマトと同じような大きさに切っていく。お醤油とオリーブオイルとわさびを混ぜ合わせて上からかけて和えると、それを透明なガラスの器に盛った。
らっきょうと福神漬けを用意して、小さなカクテルグラスにデザートのマンゴープリンを乗せる。全て出来上がったところで、ダイニングテーブルに運びセットし始めた。
「壮真さん、ごはんができました」
キーボードを打っている副社長の背中に声をかける。
「わかった。このメールを送信したらすぐ行く」
副社長はものすごいスピードでカチャカチャとキーボードを打ち始めると、「これでよし」と言ってメールを送信してパソコンを閉じた。
「おっ、今日も旨そう。これアボカドのサラダじゃん」
テーブルの上の並んだ料理に視線を動かす。
「すみません。今日は昨日のカレーが残ってたので、またカレーです。簡単ですみません。明日は違うもの作りますね」
申し訳なさから副社長の反応を確認しつつ、苦笑いを浮かべていると──。
「カレーは2日目が美味しいっていうだろ? またカレーじゃなくて、昨日よりも美味しいカレーだよ。美月、いつもありがとな」
柔らかい表情でにっこりと微笑む副社長に、また胸の奥がきゅんと疼いた。