月に魔法をかけられて
2人で席に着き、今日あった出来事を話ながらカレーを食べ始める。デザートのマンゴープリンを食べ終えたところで、突然ソファーテーブルに置いてあった副社長のスマホがブルブルと振動し始めた。
副社長が椅子から立ち上がり、ソファーテーブルまで行ってスマホを確認する。そして画面をタップして電話を取った。取引先かなと思いながら私も立ち上がり、食べ終わった食器をキッチンへ運んでいると、最初は普通の声色だったのが、段々と険しそうな表情になり、怒りの籠った声へと変わっていった。
仕事で何かトラブルでもあったのかと心配になりながら様子を窺う。
「ああ、わかった。待ってる」
そう言って電話を切ると副社長は私に視線を向けた。
そのまま無言でお皿を洗い始めた私のそばに来て、後ろから抱きしめる。
「ど、どうしたんですか? もしかして仕事のトラブル?」
いつもとは違う副社長の様子に、私は手に持っていたお皿をシンクに置いた。副社長は抱きしめていた腕にぎゅっと力を入れると、耳元で小さな声を発した。
「美月……犯人が捕まったみたいだ……」
私は目の前にあったタオルで手を拭くと、腕をほどいて後ろを振り返った。
「は、犯人って……あの犯人……?」
「そう……。これから聡が説明に来る。俺と一緒に聞けそう? もしつらかったら俺だけ聞くけど……」
瞳をゆらゆらと揺らしながら、心配そうに私を見つめる。
「大丈夫です……。一緒に聞きます」
私は震え出した手をぎゅっと握りながら、呼吸を整えるように大きく息を吐いた。
副社長が椅子から立ち上がり、ソファーテーブルまで行ってスマホを確認する。そして画面をタップして電話を取った。取引先かなと思いながら私も立ち上がり、食べ終わった食器をキッチンへ運んでいると、最初は普通の声色だったのが、段々と険しそうな表情になり、怒りの籠った声へと変わっていった。
仕事で何かトラブルでもあったのかと心配になりながら様子を窺う。
「ああ、わかった。待ってる」
そう言って電話を切ると副社長は私に視線を向けた。
そのまま無言でお皿を洗い始めた私のそばに来て、後ろから抱きしめる。
「ど、どうしたんですか? もしかして仕事のトラブル?」
いつもとは違う副社長の様子に、私は手に持っていたお皿をシンクに置いた。副社長は抱きしめていた腕にぎゅっと力を入れると、耳元で小さな声を発した。
「美月……犯人が捕まったみたいだ……」
私は目の前にあったタオルで手を拭くと、腕をほどいて後ろを振り返った。
「は、犯人って……あの犯人……?」
「そう……。これから聡が説明に来る。俺と一緒に聞けそう? もしつらかったら俺だけ聞くけど……」
瞳をゆらゆらと揺らしながら、心配そうに私を見つめる。
「大丈夫です……。一緒に聞きます」
私は震え出した手をぎゅっと握りながら、呼吸を整えるように大きく息を吐いた。