月に魔法をかけられて
突然のプロポーズ
聡さんが犯人のことを伝えに来てくれてから一週間が過ぎた。

副社長はあの日以来、毎日私と寝室を一緒にするようになった。

こんな風に求められとてつもない幸せを感じながらも、日に日に激しくなる副社長に、私の体力は限界を超えつつあった。

そんなわけで、土曜日の朝は全く起き上がることができず、お昼前までベッドの中でぐっすりと眠りこんでしまった。


カタン──と何かが置かれる音がして、ぼんやりとしながら眠い目を開けると、副社長が手を伸ばしてスマホをサイドテーブルに置く姿が見えた。

鍛えられた背中の色気に男らしさを感じ、「好き」という気持ちを改めて認識する。

「壮真さん……」

ベッドの中に横たわったまま名前を呼ぶと、すぐに私の方へ振り返り、「おはよ」とおでこにキスを落とした。

「ごめん美月、起こしてしまったんだな……」

身体の怠さから動くことができず、視線だけをゆっくりと副社長に向ける。

「おはよう……ございます……」

「ごめんな、まだ寝てていいよ。疲れてるだろ?」

副社長は私の頭に優しく触れながら、申し訳なさそうな表情とは反対に、甘い瞳で私を見つめた。

「今……、何時ですか……?」

寝室の時計を確認しようと頭を動かすと、斜め上から「11時過ぎかな」と言葉が注がれた。

「えっ、うそ……」

そんな時間まで寝てしまっていたことにびっくりして、慌ててどうにか起き上がろうとすると、副社長の腕の中にくるりと包まれた。
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