月に魔法をかけられて
「昨日? ああ、そう言えばお前、昨日は珍しく酒に酔って寝てたよな。帰り、大丈夫だったか?」

「帰り?」

「ああ。なかなか起きないから美月ちゃんにお願いして帰ったけど」

「はっ? 美月ちゃん? 誰だよそれ。お前が俺をここに連れてきたんじゃないのかよ?」

驚いて聞き返した俺の言葉に、聡は俺の質問には答えず、逆に怪訝そうに聞き返してきた。

「誰って、美月ちゃんはお前の秘書だろ。それよりここってどこだよ? お前、ちゃんと家に帰ったんじゃないのか?」

「えっ……秘書………?」

俺は聡の言っていることが全く理解ができず、一瞬言葉を失った。

「おい壮真、聞いてるのか? お前、もしかして家に帰ってないのか?」

「あ、ああ。それが……起きたらホテルの部屋だったんだ……」

「ホテルの部屋? どうして? もしかして女でも連れ込んだのか? まさかお前美月ちゃんと……」

「いっ、 いや……それは多分……違うと思う………」

俺は自分の服装の状態からそう答えた。
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