怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
*
要がイヤホンで指示を出すと、五人の警察官がペンションに踏み込んで来た。
「要、大丈夫か?」
そのうちの一人、スーツ姿の男性がとても心配そうに、床に座り込んでいる要に声をかけた。
「大丈夫だよ。それより、奥で倒れてるのが田中。今回の犯人。暖炉にあるのが被害者、大島砂奈の遺体。これ、その他もろもろの証拠」
愛想無くそう言って、要はポケットから骨や、血のついた草、灰、などを取り出した。
「まあ、鑑識が調べれば一発だろうけど。っていうか、ちゃんとあいつの自供聞いてたでしょうね? アニ」
「聞いてたけどさぁ……可愛い妹に何かあったらと思うと気が気じゃなくて、殆ど覚えてないよ」
「バカ。ホント、バカ!」
辛らつに言って、要は兄である想一郎の足を叩いた。
「痛いっ! まあ、ほら、録音はちゃんとしてるから! なっ!」
「なっ、じゃねえよ。それで良く刑事務まるな」
「まあ、まあ、要ちゃん。要ちゃんのわがまま聞いてくれたんだから」
「だよねぇ」
「だよねぇじゃないよ。由希に馴れ馴れしいんだよ、アニは!」
軽く怒りながら、要は立ち上がる。
あかねからメールを受け取った呉野は、メールの指示に従い、花華の事件について調べ、必要になりそうなところを送られてきたファイルからダウンロードし、紙にコピーした。
そして、要の兄で、警視庁刑事課で働いている想一朗に連絡を取り、十人の警察官と共にここへやって来たのだ。
隠された道を発見した際、要から事情を訊いた想一朗は、増援を要請。二班に分けて、一班をあかね達の捜索に、もう一斑を殺人現場へ向わせようとしたが、要が推理を披露すると言ってきかなかった。
結局想一朗は妹可愛さに折れた。
そして呉野は今、あかね達の捜索に同行している。
「しかし、なんで要はそんなに推理の披露したかったんだ? お兄ちゃんに任せてくれれば良かったのに」
「あたしじゃなきゃ、使えないネタがあったからだよ。それに、幽霊が憑いてるなんて言っても警察は信じないでしょ。あと、早く捕まえないとまた誰かが死にそうだったから」「どういうこと?」
首を傾げた想一郎に、要は面倒くさそうに説明した。
「由希が上河内さんが怪しげな宗教団体の自称霊能力者って知ってても同行したってことは、少なくとも上河内さんは何らかの能力があるんだと思ってた。で、それが憑依体質なんだって気づいて、ここにいる霊は邪悪なのがいるし、おそらく猪口を田中が呼んだのは偶然じゃない。猪口に恨みのある霊がそうさせた。と、なると憑依体質の上河内も誰かを殺しかねない」
要がイヤホンで指示を出すと、五人の警察官がペンションに踏み込んで来た。
「要、大丈夫か?」
そのうちの一人、スーツ姿の男性がとても心配そうに、床に座り込んでいる要に声をかけた。
「大丈夫だよ。それより、奥で倒れてるのが田中。今回の犯人。暖炉にあるのが被害者、大島砂奈の遺体。これ、その他もろもろの証拠」
愛想無くそう言って、要はポケットから骨や、血のついた草、灰、などを取り出した。
「まあ、鑑識が調べれば一発だろうけど。っていうか、ちゃんとあいつの自供聞いてたでしょうね? アニ」
「聞いてたけどさぁ……可愛い妹に何かあったらと思うと気が気じゃなくて、殆ど覚えてないよ」
「バカ。ホント、バカ!」
辛らつに言って、要は兄である想一郎の足を叩いた。
「痛いっ! まあ、ほら、録音はちゃんとしてるから! なっ!」
「なっ、じゃねえよ。それで良く刑事務まるな」
「まあ、まあ、要ちゃん。要ちゃんのわがまま聞いてくれたんだから」
「だよねぇ」
「だよねぇじゃないよ。由希に馴れ馴れしいんだよ、アニは!」
軽く怒りながら、要は立ち上がる。
あかねからメールを受け取った呉野は、メールの指示に従い、花華の事件について調べ、必要になりそうなところを送られてきたファイルからダウンロードし、紙にコピーした。
そして、要の兄で、警視庁刑事課で働いている想一朗に連絡を取り、十人の警察官と共にここへやって来たのだ。
隠された道を発見した際、要から事情を訊いた想一朗は、増援を要請。二班に分けて、一班をあかね達の捜索に、もう一斑を殺人現場へ向わせようとしたが、要が推理を披露すると言ってきかなかった。
結局想一朗は妹可愛さに折れた。
そして呉野は今、あかね達の捜索に同行している。
「しかし、なんで要はそんなに推理の披露したかったんだ? お兄ちゃんに任せてくれれば良かったのに」
「あたしじゃなきゃ、使えないネタがあったからだよ。それに、幽霊が憑いてるなんて言っても警察は信じないでしょ。あと、早く捕まえないとまた誰かが死にそうだったから」「どういうこと?」
首を傾げた想一郎に、要は面倒くさそうに説明した。
「由希が上河内さんが怪しげな宗教団体の自称霊能力者って知ってても同行したってことは、少なくとも上河内さんは何らかの能力があるんだと思ってた。で、それが憑依体質なんだって気づいて、ここにいる霊は邪悪なのがいるし、おそらく猪口を田中が呼んだのは偶然じゃない。猪口に恨みのある霊がそうさせた。と、なると憑依体質の上河内も誰かを殺しかねない」