初恋前夜
 その役を演じる俳優をあらかじめ決めてから脚本を書いただけだろう。そういうのは『当て書き』っていうんだ。商業作品ならともかく、部員にこびへつらって、おもねてどうするんだ。せっかくオリジナル脚本で上演するんだったら独自の世界観打ち立ててみろって。キャラを俳優に寄せるんじゃなくて、まったく別人になりきるのが俳優ってもんだろうが。
 くそう。
 そういうことをみんなわかっちゃいない。
 どうせ一穂なんて、自分がおいしい役を演じられるからあっちに飛びついたんだ。
 で、結局僕は、またしても裏方担当。
これまで同様、大道具作りと照明だ。
 別にひがんでなんてない。だって、これらの仕事なくして舞台を創造することはできないからね。いわば、重要任務である。
 である。――である。――である。
 である……だって。
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