人魚の標本

「人魚になる、というよりは人魚の肉を食べた人間の肉は人魚の肉と同じってことですよ」

「いつから、そこに」


 声がしたので振り向くと後ろ手にドアを閉める恵比寿先生がいた。

 がちゃん、と音がして鍵をかけられたんだとわかる。


「そろそろ新しい肉が必要だったんですよ、ちょうどよかった」


 にこにこと笑う先生は、いつもと同じ、全く同じ調子でそう言った。


「せっかくだから朱里さんと海斗くんに最初の真智さんの味見をしてもらいましょうか」

「大丈夫だよ二人とも〜、お刺身と一緒でそのまま食べれるから」


 あやめが真智の頬をハサミで切り取る。

 氷のせいでくぐもった悲鳴にしかならなかったけれど真智の頬は10秒くらいで元に戻った。
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