そろそろきみは、蹴られてくれ。
花乃がスタートラインに立って、前を向いている。
花乃と篠山くんに、幾度となく気をつかわせてしまった。
それに、応援しながら送り出すこともできなかったな。
悔やんでから、違う、と思い直す。
いまわたしが浮かべるのは、こうすればよかった、ごめんね、そういう言葉じゃないでしょ、紗奈。
「……花乃、」
息を吸い込んで、大声で。
「頑張って……っ!」
弾かれたように顔を上げた花乃が、こちらを向いた。