そろそろきみは、蹴られてくれ。


「校舎、探したらまだいるかもよ」

「わたし……探してくる!」

「紗奈ちゃん、スマホ……は教室か。わたしの、つかう?」


たずねられて、一瞬、迷って。


「……大丈夫!」


ちから強く。宣言。


連絡したほうが確実なことは、わかっている。でも、もしかしたらもう、校舎を出ているかもしれないし。


戻ってこい、なんて、言わないのだ。


明日でも、もうわたし、大丈夫だから。


ただ、いま、どうしても言いたい。そんなわたしの気持ちなだけ。


それに。

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