それ以外の方法を僕は知らない





「あらぁ、それはもうカレーうどんにするしかないんじゃない?」

「えっ、先生頭いい!そうする!」


杏奈の反応にくすりと笑う先生に、彼女は「じゃあ、私たち行くので!」と言ってペコっと頭を下げたので、続くように私も軽く頭を下げて過ぎ去ろうと足を動かす。


───と。




「まって、石垣(いしがき)さん」



先生が思い出したように私を呼び止めた。



「はい」

「悪いけど、下館くんに“今日は無し”って伝えておいてくれないかな」

「…克真くんに、ですか?」

「ホッチキス止めがおわりそうにないの。あなた、下館くんと仲良かったわよね?」

「…や、えっと、はい」

「じゃあ頼むわね。ありがとう」



先生は申し訳なさそうに眉を下げると、私の返事を聞く前にそう言って職員室の方へと行ってしまった。

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