それ以外の方法を僕は知らない
「…無し、ってなんのことだろう」
ぽつり、そんな声が洩れる。
映画に行った日も克真くんは先生に用があるみたいだったから、二人を繋ぐきっかけはこの会話の詳細が関係しているのだろうか。
意味深な言葉の理由は、私の小さな脳みそでは導き出せそうになかった。
「さぁ?とりあえず下館くんに伝えてあげれば?」
「うん…そうするけど、」
「ていうかそれよりごはん!カレーうどん!」
「あ、あぁ、うん。そうだね、行こう」
気になるものの、空腹には抗えない。
克真くんに伝言するときに聞いてみよう。
心にそう決めて、私たちはようやく食堂へと向かった。