それ以外の方法を僕は知らない
俺の人生はまだまだこれからなのに。
これから生きていく中で出会う好きなアーティストも、訊きたい誰かの話も、まだまだたくさんあるのに。
その日俺は、真っ暗な部屋で涙が枯れるまで泣いた。
泣いたって変わらない事実が、余計に苦しくて仕方がなかった。
俺は、中学の友達にはこの事実を伝えることができないまま卒業を迎えることになった。
よく一緒になってつるんでいた奴らのうち高校が同じなのは一人しかいなかったので、その友達だけには、俺が患った障害について話すことにした。
耳が聞こえずらいこと。
治っても再発する恐れがあること。
これからもっと聴こえなくなるかもしれないこと。
医師に伝えられたことをもう一度自分の言葉で口にすることが、行き場のない焦燥感を与えてくる。
励ましの言葉をかけてくれた友達の声さえも途切れ途切れに聞こえる。
周りの音が、どんどん消えていく。
俺の世界は、酷く生きづらくなってしまった。