それ以外の方法を僕は知らない
― 克真side ―
「低温障害型感音難聴ですね」
医者にそう言われたのは、中学3年生の冬の出来事だった。
授業中の先生の声や友達と話すときの相手の声が聞こえづらいなとは思っていた。
最初のうちはどうせすぐ治るだろうと特に気にしていなかったけれど、耳鳴りやめまいを起こす機会が増え始めたこともあり、不安になって病院に行ったのだった。
「…それって治るんですか」
「難聴に関してははっきりとした治療法はありません。…感音性難聴は、一度よくなっても進行の悪化や再発することがあるので、この段階で治ると断言することはできません」
その日、俺が味わったのは絶望だった。
春から通う予定の高校には合格したばかりで、あとは残りの学校生活を楽しもうと思っていた時だったんだ。
それなのに、どうして急に。