それ以外の方法を僕は知らない
背後からポン…と肩を軽く叩くと、彼はヘッドホンを外しながらゆっくり振り向いた。
「…なに?うざい」
そして、心底嫌そうに顔を歪めてそう声を零すのだった。
「えー」
「うるせえ喋んな」
「えー」
「…チッ」
肩を叩いただけでウザイとは何事ですか。
喋ることも許可されないってどういうことですか。
ていうか、周りの音が聞こえないのはきみの責任じゃないんですか。
早く用件を話せ、と言わんばかりに彼は眉を顰めて私を見つめる。
その瞳に若干圧倒されながらも、私はもう一度「克真くん」と彼の名前を口にした。
「先週の課題、また未提出だよ」
「…はぁ?」
「はぁ?じゃなくて。今から先生にこれ出しに行かないといけないの。持ってきた?それとも明日出す?」
課題を今出すのか、明日以降に出すのか。
その確認さえ取れれば私の用件は達成できるのだ。
彼に問えば、怠そうに溜息をつきながら「…持ってる」と呟いて、リュックの中から取り出したそれを私に差し出した。
「ありがとう。預かります」
「…どーも」