どうして・・
にじゅういち

···美春


美春は······
別人と言っても良いほどに
落ち着いて、物静か女性となっていた。

経営者だと言う女性から

新は、あの時に勤めた店だと聞いて
驚いた。

すぐに辞めると思っていたから。

経営者の女性は、
美春は、常に五本の指に入る売上を維持し
店に貢献してきたと。

店では人間の汚さ、身勝手さ、駆け引きを
まざまざと体験してきて

美春自身の傲慢さやわがまま
全てを人のせいにして生きてきて、
自分は可哀想な人間で
だから、何をやっても許される
と思っていたものは
抜け落ちました。

七年かかったと
教えてくれた。


新は、誰とも話さない生活し
社内の人間からの蔑み、無視を
される生活を何年も送り
池谷さんに助けられて
電力会社を辞める事ができた。

その間自分の支えは
奥菜先生からのメールだけだった。
と話した。

戸籍上では両親ではないが
自分にとっての両親が暮らす土地の
近くに暮らしたくて
九州に行き妻と出会う事が
出来ましまたと

まだ、両親とは会うことは
許されていないが
それでも良いと思って過ごしている
と、話した。

奥菜先生は、
「彩羽さんのご主人が言われたように
もう、三人とも過去から
解放されて良いと思います。

謝罪だけが全てではありません。

川本さんも服部さんも十分に
辛く苦しい日々を送りました。

もう、自分達を許してあげて下さい。

彩羽さんの心の傷は、
消えることはないかもしれません。

ですが、彼がいれば大丈夫です。

彼は、一度自分から彩羽さんを
手放しました、そのときの
自分の愚かさや、
彩羽さんを失った辛さや苦しみを
存分に味わっているから
何年もかけて彩羽の中に
浸透していったみたいですよ。
だから、きっと、大丈夫。」
と、言った。

美春とママ
新と麻美も先生の言葉に
気持ちが軽くなるのが
わかった。

美春は、新にも
当時の事を詫びてから
ママと帰って行った。

新は、自分が書いた手紙は
読まれる事はなかったと
わかった。

それは、それで仕方ないとも
思っていた。
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