ニセモノの白い椿【完結】
それからは、お酒が進んだこともあり、気が向くままにどうでもいいことを語り明かした。
遠慮も気兼ねもいらない。本当に友人のように。
「だいたい、私に弟がいるなんて、木村さんに言ったっけ?」
「言ってたよ。覚えてないの? なんだっけ、優秀で無駄にイケメンなクソ弟がいるって言っていたかな」
いつの間に、そんなことまで話したかな。自分が何を言っているのか分からないとか、終わっている。
「今、ニューヨークに赴任中なんでしょう? その彼女が凄くいい子なんだーって、ニヤニヤしてた」
ニヤニヤ……。確かに、沙都ちゃんのことを思い浮かべたらニヤニヤしてしまうかもしれない。
「弟さん、いくつなの?」
「眞は……いくつだっけ。今年、28になるのかな? そんなもんか」
既にテーブルの上の酒は、ビールからカクテルに移っている。色鮮やかな赤紫の液体が入ったグラスに付く水滴が、まるで宝石みたいだ。
「なら、俺より一つ下か―――」
「そっか。なんだ。木村さんなんて、私の弟みたいなものじゃないのよ。ほれ、弟。友人じゃなくて、弟にならしてやってもいい」
舎弟が一人増える。それなら、いいかもしれない。
少しだけ身体がぐらつきながら、目の前の木村の肩をポンと叩いた。
「――もう、あなたの好きにしてください。弟でも友人でも」
そう言って、木村が笑った。