契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「君のコトしか書いてないし、見てもいいぞ」

「見るっ!」
私は彼から封筒を受け取り、中の便せんを取り出した。

「お母さんってば…本当に…私に内緒で勝手に俊吾に手紙なんか送らないでよね…」

「悔しいけど…君のコト知ってるのは澄子さんが一番だ。でも、この手紙のおかげで…俺が一番になれそうだな」

「別に…お母さんと張り合わなくても…いいじゃない」

私はお母さんが俊吾に書いた手紙の中身に愕然とした。

「お母さん…!?何もそこまで書かなくても…」

お母さんに話した秘密が全部そのまま綴られていた。
「俺とハッピーエンドになれる漫画を描くとか…ヤバ過ぎ…」

「それは小学校の時の話だから…」

「でも、良かったじゃないか…俺とこうして結婚出来て…」
「それはまぁ…」

「一人の時は今でも俺のコト考えて妄想にふけてるのか??」
俊吾の眼鏡のフレームがキラリと光った。


「そんなコトないわよ…」

「怪しいな…杏南」

「もうっ・・・知らない…」

私は頬を膨らませ、プイッと顔を逸らした。
彼は膨らせた頬を指で突っつき弄ぶ。

「止めてよ…」

「止めない。可愛いから…」

彼は笑って茶を啜った。
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