契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
私は地下の駐車場まで俊吾さんを見送った。

「手土産までありがとう御座いました」

「別に…あれ位当然だろ?それよりも・・・杏南」

「何ですか?」

「俺達はまだ籍は入っていないが、夫婦だ。タメでいいぞ」

「え、あ…でも・・・」

「でもじゃない…そんな余所余所しい話し方では一向に互いの距離が縮まらないぞ」

「…わかりました」

「ほら、また…敬語だ」
彼は執拗に詰め寄った。

「分かった…」

「俺の名前も呼び捨ていい」

「それは…」

「ほら、早く呼べっ。杏南」

「俊吾…」

私は照れ臭く小さな声で市は呼べなかった。

「元気のない声だな…まぁ、いい…じゃあな。杏南。しっかり仕事しろよ」

彼は私の頭をぽんぽん叩き、車の前で焦ったような顔して待つ淡路さんの元に行ってしまった。

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