兎の沈黙 うさぎのちんもく

♫〜着信音


山野月姫


げー…ホントに電話来たし…


「ハイ…」
「名波!」


うるさ…


「なに?」

耳からスマホを少し離した


「ヒマだから電話した」


「なんだ…」


「幽霊出てほしかった?」


「いや
だからそんなのいないって」


「名波…後ろ…」


「え?なにが?」


「後ろに…いるよ…」


ザワ…


「…やめろよ!そーゆーの」


「アハハ…怖くなった?」


「怖くねーし!」


「ねぇキャンプしてるんだけど、来てよ!」


「どこに?」


「うち」


「いいじゃん、楽しそうで
キャンプしてろよ
じゃーなー」


「だから、来てよ!」


「楽しいなら問題ないでしょ」


「問題あるよ」


「なに?」


「私、ひとりしかいないもん」


「は?オマエひとりでキャンプしてんの?」


「うん
キャンプしたら怖くないかなーって」


「やっぱバカだね」


「だって、怖くて、いろいろ考えたんだよ」


「だから、大丈夫だって!」


「ホントに?」


「うんホントに」


適当オレ


「わかった」


そう言って通話が切れた



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