身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
しかし、全く意味を成していない状態に呆然とした。
ふたりの関係が微妙なだけに、その場で佑杏に申し出ることができなかった。
アフターピルを使ったほうがいいかもしれないなんて、それこそもちろん言えなかった。
眠りについた彼女を腕に抱きながら、ひとり考えを巡らせた。
明日になったら、必ず連絡先を交換すること。
もし何かあったらと、それだけを言って、理由を明確にしなくてもいいと思った。
これで万が一、俺の子を妊娠でもしてしまっていたら、彼女の気持ちがどうであれ知らせてもらえるに違いない。
その時はどんな形でも責任を取ろうと思っていたのだ。
結局、佑杏に会うことは叶わなかった。
那覇空港でひたすら待っていたものの病院から緊急の呼び出しが入り、後ろ髪を引かれる思いで空港をあとにした。
あれから、二か月……。
彼女は今、どこでどうしているのだろう。
たった一日しか一緒にいなかったくせに、未だに佑杏のことが忘れられない。
にこにこ楽しそうに喋る姿も、頬を赤らめて恥ずかしそうに目を逸らす表情も、少し冷たい小さな手も、抱き締めた時のふわふわとした柔らかさも……。
あの日から、俺は彼女のことばかりを考えている。