身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
気がかりは、彼女の体のことだ。
妊娠すれば、どんな選択をしたにしろ体に負担がかかるのは女性のほうだけ。
そう思うと、後悔に苦しめられる。
「俺、考えたんだけどさ。もし、もしだぞ? 佑杏ちゃんがその一発でお前の子を妊娠したとして、連絡先がわからない……もしそうなったら、ここに連絡してくんじゃねぇかって思うんだよ」
「ここに?」
「ああ。俺に訊いたら晴斗と連絡がつくかもって、思わねえか?」
「確かに……」
ダイさんは「だろ?」と得意げに笑う。
彼女の立場で考えてみたら思い浮かぶそんな案も、いっぱいいっぱいだったせいか思いつきもしなかった。
「だから、もし妊娠してたりしたら、お前と連絡取るためにここに連絡があるって」
だとすれば、もう二か月……。
何もなかったということなのか……?
ぼんやりとそんな風に考えると、ダイさんは遠くを見つめる俺の目の前でグラスをちらつかせた。
「それとも、そんなこと関係なくまた彼女に会いたいと思ってるとか?」
見透かすような言葉に、返答はできない。
体のことは、責任もあって気になるのはもちろん変わらない。
だけど、ダイさんの言う通り、それを抜きにしても彼女に、佑杏にまた会いたいという気持ちはあの日から少しずつ大きくなっていた。