身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 海を眺めるバルコニーから、掃き出し窓を開けたままにしてある客室を振り返る。

 しんと静まり返った、誰もいない部屋。

 来ないほうが良かったのかなと、つい暗い思いが頭を過った。

 そんな時、静かな部屋にスマホの着信音が響き渡る。


 電話……?


 バルコニーから部屋へと入り、ベッドの上に放っておいたスマートフォンに近づく。

 そこに表示されていた名前を見て、一瞬呼吸を忘れたように息が止まった。


 なん、で……?


 もう二度とかかってくることもないと思っていた相手。

 いつもはトークアプリで連絡を取り合っていたけれど、昨日の晩にブロックして削除をしていた。

 番号でかけてくるのは付き合っていた頃もなく、たぶん初めてのこと。

 止まない着信を前に、体が動かせない。

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